コミュニティの企業・インフルエンサー流失

例えば自分たちの対戦コミュニティが何者かによって破壊されるとしたら。

と、いうのはわりかしありえる話だと思ってます。

ちょっと無理やりですが、千と千尋の神隠しカオナシで伝えます。わからない人のために一応。

1.みんなで楽しく旅館を営業していました。

2.そこにカオナシがやって来て、とんでも無い額のチップ(従業員個人に対してお金を渡すこと)で従業員を良いように使いました。

3.お金が欲しい従業員はひたすらカオナシの言いなりになってしまいます。

4.旅館の機能は停止してしまいました。

この問題を掘り下げていきます。登場人物は、
従業員、カオナシ、そして他のお客さん、社長の湯婆婆です。
従業員はカオナシに陶酔し、それによって他のお客さんへのケアが行き届かず、それを見かねた湯婆婆が困ってしまったという流れに今回はしておきます。

この後カオナシが渡していたチップが偽貨であることがわかるのですが、果たして偽貨ではなかったとしてもこの一連の流れは無問題でしょうか。

それはおそらくNOです。旅館というコミュニティは確実に「カオナシの登場」によって崩れました。
ではこの流れで悪いのは誰でしょうか、つまりは「カオナシ」と「従業員」のどちらでしょうか。少し考えてみましょう。

 

企業流失

まずカオナシのチップが偽貨の場合はカオナシが完全に悪ですが、これが仮に本物だった場合でも同じことは起こっていました(結末は変わっていたかもしれませんが、旅館というコミュニティの崩壊は起きていたはずです)。これがなぜかというと従業員がカオナシからの恩恵を享受したいからです。

ではカオナシが従業員に対してチップを払うことは悪でしょうか?また、従業員がカオナシから「正当に」チップを受け取ることは悪でしょうか。結論これらは全て悪ではなく、当事者の動きとしては当然だと思います。日本国内にはチップ文化はありませんが、海外にはあります。カオナシが従業員にもてなしてもらったら従業員に対してなんらかの報酬を払いたいというのは人間の心理作用を踏まえると不自然なことではありませんし、実例もあるわけです。そしてそれを正当な報酬として扱うルールがあれば従業員がそれを受け取ることも悪ではないわけです。

ではこれの解決策は何かということになりますが、それは湯婆婆が従業員に対してカオナシのチップ以上に報酬を支払うことです。そうすれば従業員がカオナシのチップで混乱することはなくなるはずです。ではポケモン対戦コミュニティの話に戻します。

従業員を大会運営スタッフ、カオナシを企業、お客さんをプレイヤーと置き換え、湯婆婆は......まぁコミュニティの総意ということにしておきます(葉桜杯の湯婆婆はある意味僕とさくらんさんかもしれません)

前提ですがコミュニティは貧相です。僕は葉桜杯で毎週実況をしていますがそれらは無賃ですし解説も同様です。そして配信担当の結城も無給ですし、くあぐの育成にも給与を支払うことはできません。当然総務のでぃーも主催のさくらんにも報酬は発生しません(経費は落ちることはあります。幸い。)これは葉桜杯に限った話ではなく、Frontierとかガラルユナイト、蟹王杯でも同様です。コミュニティ大会は参加者からお金を徴収しない限り全てこれです。

コミュニティ大会・企画が潰える理由は主に3つあります。
・リソース不足
・費用対効果の薄さ
・団体に対する参加者の不信

ではこれらのうちお金で解決する問題はどれかと言われたら上の2つが該当します。そして「参加者からの不信」は団体が組織として強くなることで解決するケースもあります。そしてこの「金銭的問題」を解決する要因になるのが「企業参入」(やっと本題)です。

前提ですが企業は自社サービスを提供したいですが、それらは知ってもらわないと活用してもらえないため「PR活動」を行います。例えば某エナジードリンクを広めたい、もしくは某トーナメントサイトを広めたいとなったらそれらを使ってくれそうな人に対して直接マーケティングを行う必要があります。

・僕自身(コミュニティ大会)はそれらを自分で景品として設定する資産が無い
・企業にはPRとしてそれらを提供する資産がある

ここで初めて大会に対する企業スポンサードが発生します。大会に景品や「主催のサポート」が得られることで先の2つの問題が解決します。しかしこれと同時にまた別の問題が発生します。それは大会側が企業のスポンサードに依存する可能性があることです。

仮に葉桜杯がスポンサード企業に依存してしまった場合。スポンサード企業の要望には逆らえなくなります。すると企業側の提案を大会側が飲むか、それらを拒否してしまったばかりに大会が崩壊するかの選択を迫られることになります。

ここまでは良いのですが、問題はスポンサード企業が「コミュニティの意思に反する提案」を持ちかけてきたケースです。ここで初めて企業のスポンサードが問題視されたり、これをなんとなく感じて反対する人がいると言った印象です。

で、ここで名前を出すのですがポケモン対戦コミュニティにTonamelやZONeのスポンサードを持ち込んだのは僕です。果たしてこの行動が正しいのかという問題に行き着きますし、結論としてはやって良いと感じています。要点としては、

・Tonamelの担当者に、親身な相談に乗ってもらえる
・Tonamelの企業理念的にコミュニティの意思を尊重する方針が優先されている
・スポンサードを受ける権利が多くの人間にある

これらを踏まえて「コミュニティにとって良い物」と判断し、はじめに自身の大会にTonamelのスポンサードを依頼しました。

ただし、ただ導入するだけではこの恩恵を自分にしか受けられません。そのためにやったことが他のポケモン対戦コミュニティ大会への紹介です。
まずは手始めに8lu君にHydrMatchを主催させました。一大会オーガナイザーではなく、「一プレイヤー個人」でもスポンサードが受けられることを証明しました。次にFrontierに紹介し、そこでも形態は特殊でしたが自分以外の「団体」でもそのスポンサードを受けられることが証明されました。その後のスポンジさんや塩麹さんはもちろん、翼皇杯主催のルセリアさんやガーダシルさんもスポンサードを受けられるとのことです。コミュニティにいる人間全員が不都合無く企業スポンサードの恩恵を受けられると確信し、それに向けた施策を踏めるところまで見越して第二回葉桜感謝祭及びHydrあtchの企業スポンサードを導入しました。
僕自身Tonamelの大会システムが便利すぎて依存してる面は否めませんが(便利なんやもん)、別に葉桜杯は未だに仲間大会を使用して大会を行なっていますし、Tonamel側からそういった形式に異議申し立てをされたことは一度もありません。こういった企業理念やその姿勢が事前にわかっていたのでこういった導入に踏み切ることができました。

これが企業側から理不尽な要求をされた時にコミュニティ側が強く出ることが難しいと、大会というプレイヤーの生息圏が脅かされることになるわけです。ですから大会の企業スポンサードもこういった視点から本当に良いのか悪いのかを見極める必要があると僕は考えています(他にも持つべき視点はありますが)。
ただ今回は僕が手放しでも悪い影響は無いと思いTonamelの担当者の相談しながら徐々にポケモン対戦コミュニティに広めていった次第です。実は結構慎重に行なっていました。

インフルエンサー流失

そしてこれも企業スポンサード同様見逃せないポイントになります。今回のポケリーグの主催に葉桜杯が運営のサポートとして入っている形です。とは言えこれは葉桜杯にとって非常に大きなメリットが発生することも事実です。

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ここに書いてあるんですけど、どんなに優れた大会運営の大会でもインフルエンサーが開く大会の方が人は集まりますし、注目度も高くなります。これは紛れも無い事実です。

大会は参加者が集まらないと成立しません。だからインフルエンサーが開く大会は人気がありますし、事実として葉桜杯の4,5倍の募集をポケリーグでかけることができます(規模の関係もありますが)

企業はお金の問題を解決できますが、インフルエンサーは「参加者からの信用」の問題を解決することができます。これが今度は企業スポンサード同様、依存とコミュニティの崩壊の問題が発生する可能性が浮上するということです。

ではなぜ葉桜杯(と、いうより僕自身)がポケリーグと提携することになったかですが、これも主催のバンビーがコミュニティの意思を尊重してくれる人間であることを僕自身が事前に把握していたからです。
加えて先ほどの流れでも説明しましたが、僕には他大会と連携するための人脈やノウハウがあります。それらを加味してバンビーの大会によってコミュニティが大きく崩れる心配は無いと判断し、このような流れに踏み切ったわけです(そもそも安価とは言え企業ではなく、コミュニティを頼ってくれてる時点で本当にありがたい話です)

ですから、葉桜杯及び僕の動向を見ていただければ察していただけるとは思いますが、僕自身は基本的にコミュニティの意思を尊重して動くようにしています。企業やインフルエンサーの介入も僕個人であれば何も考えずに動きますが、大会はプレイヤーの生息圏になるため、その運用は慎重に行う必要があると考えています。

こうした「ポケモン対戦コミュニティ」という財産を企業やインフルエンサーに流失させて崩壊させないようにしないといけないのですが、「なんかすごいこと」をしたくなると避けられない問題となるのです。ですから僕自身実は企業スポンサードやインフルエンサーを主体とした大会は、今回扱った物意外にも大きなリスクを伴うケースがあると理解しているのでかなり否定寄りです。しかし、僕が導入したり携わったりしたものはコミュニティ目線で取り扱っていただけるケースが多いため、特に憂いも無くコミュニティ全体でその恩恵を受けられている。

と、いうことにしたいです。

 

普段はここで色々語ったりしてます。僕が語ると怒る人がたくさんいるので基本見えないところでやっています。

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