目が覚めると机の上にレジュメが散らかっていた。時計を見ると15時。
「あぁ、今日もか...」
Skypeの履歴にはボードゲームサイトのURLが貼られている。タイムスタンプは5:34だった。スヌーズ機能で暴れていた目覚まし時計もゲームの楽しみには抗えなかった。またつまらないポケモンを考えてはボドゲに明け暮れ、授業を飛ばした。毎日繰り返していた。
シャワーを浴びて友達にLINEを飛ばす。人段落したらパンを食べてブラウザを開く。
でんそん、おざ、デミル、ラフィー、君は戦いに何を見るか
タイムラインの更新履歴からタイムシフトボタンを押した。
応援団いくぞおおおおおおtン tン tン ハイ tン tン tン ソレ tン tン tン tン tン ポコ tン
ヘッドホンから流れる無気力な棒読み。あまりにも聞き慣れたテンプレート。最初は恐怖こそあったものの今では安心感すら覚える。体は完全に毒されていた。
通知が鳴った。
o~i
僕のSkype通知はLINEより多い。
usu
繋がる
「今誰見てんの?」
「デミル」
「飽きないなほんと」
「いや、当たりたくないし...」
「相手キモいんだけど」
「どしたん?」
「ガルガル対面サザンに引かれた」
「バカじゃん」
に〜〜〜〜こにっこどうが
「時報◯ねほんま」
「まだプレミア会員じゃないのかよ」
「こんなサイトに金払うやつの神経がイカれてる」
今日もこんな感じで、人が集まり始めたらまたボドゲが始まる。今日もGTS産個体の改造が発覚した。A10くらいのヒードランで界隈が揺らぐその日を僕たちはまだ知らない。
「なぁ」
「どうした?」
「俺たち、いつまでこんなゲームやってるんだろうな」
目の前には痺れて動けないクレセリアがいる
「さぁ、一生やってるんじゃないか」
相手のガルーラは頑なに秘密のちからを撃っている。
このターン...
「クレセリア は しびれて うごけない !」
「ガチでしn...」
DSを叩きつけようとしたその瞬間だった。
目の前には社用PCが置かれている。
「やべ...」
急いでslackを確認する。何も通知が来ていないことに安堵した。気づけば終業まであと数十分だった。得をした気分でもある。
仕事が終わり晩御飯も食べタイムラインに目をやる。