三竦み理論を逆立ちで見る

久しぶりにバカインテリ系理論派ポケ勢記事を書いてみたくなった。

三竦みとは対面▷崩し▷受け▷対面のアレ。

対面は崩しに強く、崩しは受けに強く、受けは対面に強い。

いきなり話しても仕方が無いのでまずはそれぞれを定義する。

・対面
特定のポケモンに対して『鉢合わせやタイマン』の状況から『相手にダメージ勝ち』出来るポケモンの事。相手のポケモンを『潰す』役割。元々は「潰し」と表現されていたが現代では「対面」と呼ばれることが多い。

・受け
あるポケモンを相手に交代出しし、そのポケモンが回復技を持って相手に倒されなくなったり、タイプ相性や自身の耐久値によってダメージレースが有利になること。相手の攻撃を受けきる事によって「対面」を拒否する力を持つ。

・崩し
相手のリソースを上回る火力を押し付ける事。これによって相手の「受け」を不成立にさせる力を持つ。 これの導入のために「交代」を行う事もあるが結果として崩しに分類される。

これが「一般的な定義付け」として、今回はこの定義付けを逆の視点で行う。つまりは自身が相手に攻撃をする時の視点ではなく、自身が相手から攻撃を貰う時のケースに視点を置く。

この記事におけるポケモンというゲームに置いて「殴られる」というケースを定義する。例えばサンダーにカプ・レヒレが10万ボルトを撃たれているのはカプ・レヒレが「殴られる」と定義する。

加えて、サンダーがドサイドンに暴風を撃っているのをドサイドンが殴られていると定義できないものとする。この盤面においてはサンダーがドサイドンに岩技で「殴られる」と定義する。この盤面に置いて分があるのはドサイドン側であるから。

さて、この「殴られる」状況に置いて発生しているものが何かという話に落とし込むがこれは「有利・不利」が発生しているものとする。サンダー、カプ・レヒレドサイドンにおいてそれぞれ「殴られる」三竦みが発生する。

サンダー▷カプ・レヒレドサイドン

ただし、実際試合の序盤でいきなりこの撃ち合いが発生する事は少ない(と、思いたい)。サンダーとカプ・レヒレが対面したならカプ・レヒレドサイドンに引くし、そうであればサンダーはカプ・レヒレに引く。こうして「殴られる状況」を回避する。

・この事象について二点

- 「殴られる」ということは不利な状況であること

上記の盤面において「殴られる」ということは「殴られる」ポケモンが瀕死になってしまうこと、つまりは「不利対面」に該当する。

- 交代以外に「殴られる」を回避する方法が存在する
今回の焦点はここに置く。上記の3匹は交代によって「殴られる」を回避し、相手の「殴られる」に繋げている。ただ今回はこれらの不利対面を交代以外で回避出来ないか考えてみた。

・パターンA

まずはカプ・レヒレドサイドンの対面。ドサイドンカプ・レヒレを突破する方法を考えたところ「メタルバースト」を思い付いた。
この解決方法はドサイドンが殴られるケースをドサイドン自身によって解決方法している。ドサイドンの対応範囲を無理矢理広げることでカプ・レヒレに「殴られる」状況を回避した。

パターンB

次にサンダーとカプ・レヒレの対面。ここはカプ・レヒレの構成をどう捻ろうにも殴られてしまう。ただし裏にドリュウズを置いているからかこの対面はダイマックスを切られないことに気付いた。そうであればカプ・レヒレは一度だけ行動ができる。ならば「こうこうのしっぽ」をトリックして「しぜんのいかり」を撃てばテッカグヤのメテオビームの圏内に入れることが出来る。サンダーはテッカグヤの後から動くためテッカグヤを強く動かせる。
この解決方法はカプ・レヒレが自身を犠牲にすることで「殴られる」を回避した。

Aは自身の不利対面を少なくすることで「殴られる」を回避している。

Bは自身が「殴られる」ことで次のターンで「殴られる」ことを回避している。

ここで何となく気付いた人も居るであるが、これらは冒頭の「一般的な定義付け」に当てはめることができる。パターンAは「対面」に該当し、パターンBは「崩し」に該当する。加えて最初のケースは「受け、サイクル」に該当する。

ではやっとこの記事における対面・崩し・受けの定義付けを行うとする。

・対面

自身の不利対面を自身の対応範囲を広げることで解消する。

例)気合いのタスキ、突撃チョッキ

・崩し

自身の不利対面を自身を切る事によって裏から有利なポケモンを展開し有利な状況を作り出す事で解消する。

例)ひかりのねんど、パワフルハーブ

・受け

自身の不利対面を交代によって回避し、裏から有利なポケモンを繰り出すことで解消する。

例)食べ残し、オボンのみ

定義付けができたのできちんと竦むか確認を行う。と、言うよりかはどのようなケースで竦むかを考える。

・対面→崩し

対面は不利対面を自身の対応範囲を広げることで不利対面を解消する。崩しは自身を切る事で裏から有利な対面を作る。崩し側は有利対面を作る際に自身を切ってくれるので対面側は自然と数的有利を取れ、有利なポケモンを展開し続けられる(対面側のポケモンは多く残っているので選択肢が多い)。と、すれば対面側が有利。

・受け→対面

受けは自身を交代することで不利対面を解消する。対面は自身の対応範囲を広げて不利対面を解消する。しかし、対面側が範囲を広げようとするとゲームシステム上受けを突破するための手段を失う(ガブリアス対応範囲の法則)。これによって受けは対面を詰め切りダメージレースで勝利することが出来る。

・崩し→受け

崩しは自身を切る事で有利対面を作り出す。受けは自身を交代することで有利対面を作り出す。ただし、受けが有利対面を作ると崩し側は相手を疲弊させた上で有利対面を作ることが出来る。「崩し側が想定している不利対面」から有利対面を作り出せているなら相手が疲弊したりこちらが何らかのアドバンテージを持った状態で裏のポケモンを展開しているはず。このケースに限り崩し→受けが成立する。

このように不利対面の解消法がそれぞれの構築タイプにおいて違ってくる事が分かった。

さて、このように不利対面から三竦み理論を覗くと何が起こるか。それは構築から三竦み理論に結びつくのではなく、自身のプレイから三竦み理論に結びつく事なのではないだろうか。先程確認した不利対面との向き合い方は全て「構築段階で想定した不利対面」であって、想定していないと何が起きるかを考える。

・対面

解消していたと思われていた対面が実は「殴られる」状況だった。ならば不利対面を解消するために自身を切って裏のポケモンに繋ぎたいが、裏が切ってもらうことを想定していないため切ってもアドバンテージに繋がらない。

・崩し

得られていたと思ったアドバンテージが充分ではなく裏から出てきたポケモンに結局不利対面を作られてしまった。ならば不利対面を解消するためになんとか突破をしたいが自身の範囲を広げてはいないため詰まされてしまう(自身を切って展開しているため引けない)。

・受け

交代することで不利対面を解消出来たかと思ったがリソース不足で突破されてしまったり、相手が序盤で得たアドバンテージが大きすぎてカバーしきれなかった。なんとか出来てしまった不利対面を解消しようとしたが自身が交代を想定しているために対面的な動きができない。

さて各々のプランが破綻する場合何が起きているか。それは「想定していないムーブをしなければ不利対面を覆せない」ということになる。

受け→対面→崩し→受けの順で自分の要素が無く、ゲームが破綻する。

受けが崩しに勝つためには対面の要素が必要。

対面が受けに勝つためには崩しの要素が必要。

崩しが対面に勝つためには受けの要素が必要。

こまでこの記事において矛盾は無い。「不利対面から覗いた三竦み」も「一般的な定義付け」を行った三竦みもこれらと反する事無く成り立つ。

そうであればこれらの要素を満たすポケモンを入れるのではなく、要素を満たすプレイを可能にする事が解決策にならないだろうか。

例えば崩しを押し付けたいが相手の対面的な動きに対応できないのであれば対面に対する受けを行えるようにすればいい。

対面を押し付けたいが受けを倒したいなら切って裏のポケモンに繋げられれば良い。

受け切りたいが崩しが難しいなら対面的に動かせれば良い。

このように「自分が一番選択するプラン」+「それでは勝てない箇所に対するプラン」と構築を組むことで結果として「複数の要素」が組み込まれた構築が完成する。

さて、そろそろこの話にオチを付けるとする。ポケモン8世代において対面、崩し、受け、どのプランを主軸にする事が一番勝利に近付くことができるだろうか。具体的な話をするためここでダイマックスという要素に触れる。

ダイマックスは

自身の耐久値を伸ばすことで相手の攻撃を耐えて返しの攻撃で落としたり(耐久値上昇)、

自身の能力を火力を上昇させて裏の突破を試みたり(天候変化・ホロウ・ナックル・威力上昇)、

自身の耐久値を上昇させて詰ませを狙う(スチル・アース・キョダイセンリツ)

さてこの3つの中で一つだけ真逆のことをしている行動がある。ダイマックスとは自身が攻撃をする時に大きな恩恵を受けられる。1つ目は耐久値を伸ばすことで結果として攻撃に繋げているし、2つ目はそのままの意味、ただし3つ目に関しては殴りながら詰ませを狙っているがこれはやってる事に関係が無い。殴っている火力を自身の詰ませに全て還元した方が合理的ではないだろうか。

8世代シングルバトルとはダイマックスによってポケモンが本来得られなかった要素を望むポケモンにプレイで付与することが出来る。

受けポケモンに対面要素を付与させて崩しに対応することも、

対面ポケモンの火力を伸ばして受けを突破することも、

崩しのポケモンに受けの要素を付与させて対面のポケモンを詰ませることも

ダイマックスという選択によって対面・崩し・受けの動きを大幅に助長させてこれらのムーブを強く扱うのが8世代シングルバトルではないだろうか。

8世代シングルバトルを考える上でダイマックスの強い使い方は不利対面を有利対面に変えることだと考える。そうであればダイマックスの運用方法のうち2つ目の「自身の火力を伸ばして受けを突破する」が最もダイマックスのシステムと噛み合っているように思える。

このダイマックスが関与した不利対面の向き合い方を「具体的」なものではなく三竦み理論という「抽象的」な物に当てはめると構築を組むのがいくらか楽になるのではないかと考える。

攻め→崩しの移行はスムーズであっても、受け→攻めの移行は偶発的なダイマックスを切ったり別の構築軸を用意する必要があったり、崩し→受けの移行を行うにはダイマックスの恩恵を受け辛く思うように構築が組めない。

よって私自身は「対面+積み」の構築を好むし、そう出ないのであれば無理に不利対面を解消しようとするダイマックスを運用する構築よりかは、なんらかの戦法に特化した構築を好き好んで運用する事が多い。

ラプラスというポケモンが好きな理由は対面で撃ち合えるポケモンがある程度居ながら絶対零度や滅びの唄による崩し性能を得られる。それに加えて「キョダイセンリツ」によって裏のサポートを行ったり自身の行動回数を増やすことで崩しに移行することが出来る。自分が強いと思える戦法に一番沿った性能のポケモンである。

ただ一時期手にした「スカーフミミッキュ+ピクシー」の構築があったがあの構築の動きは紛れもなく「積み+受け」だった。ミミッキュを切る事で裏の展開に繋げていたし、ピクシーの不利対面をカビゴンラプラスに引いて再展開することでピクシーに繋ぎ最終的な詰ませを狙える。ただしあの構築は「その戦術に特化した構築」であってそれがハマっただけのようにも思えるのでやはり開発は難しいだろうと思う。

 

・具体的なポケモンは?

カプ・レヒレ

瞑想+鉄壁で対面への受けとして成立する。このポケモンを最終的な「受け」のゴールにすれば崩しの要素に「受け」を付与することができるのではないだろうか。

ピクシー

と、言うよりかは瞑想による詰ませ。アッキのみも食べて元気モリモリ。

ナットレイ

鉄壁が実質ビルドアップなので最強。

カビゴン

鈍いがソレ。

ただし、普通の崩しの構築にこれらのポケモンを組み込んでも火力不足に耐久不足になるケースが多くなんらかの展開やサポートが必要になるためやっぱり難しいよな〜と感じる。

 

自分が出来ないことってやっぱり魅力を感じるし前期の最終2位の構築は「崩し+クッション」を自称しているということで、ムーブだけを見ると「崩し+受け」ってことになる。僕は人も構築もめちゃくちゃ大好きなんだけど自分の考える最強とはかけ離れているのでこうして多分あの構築を触っても素晴らしさを理解できるかと言われたら多分出来ないので本当に悲しい。話をしても多分最終的にはすれ違ってしまうのだろうなとカフェオレを飲みながら話していたことを思い出したのであった。

 

僕は相手の土俵から降りられるなら思考を放棄しますよ

 

自分にはそれはできないです〜><

 

ずっとそんな素敵なプレイヤーでいて欲しいなって思います。構築にはその人の哲学が込められるのでね。

 

・追記

7世代のZ技は対面に崩しを付与することができたり、黒い霧Zのように「受け全特化」のムーブも可能でした。ただ「崩し+受け」がどうしてもポリZやイーブイと言った「それほんまか?」感が強いものしか無かったのでカバマンダガルドというサイクルしながら最終的に積んでいく物が該当したけど結局Z技が絡んだパワー択負けみたいな負けが結構あった気がします。「崩し+受け」はいつの時代もパワー不足というか、物足りない感というか、プレイヤーに最期を委ねられる事が多いですね。

・参考

https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/24154.html

三竦み - 華氏451度

崩し|ばや|note

ORASシングル】キャラランク